オニオコゼは、見た目がグロテスクで毒針を持つ危険な魚ですが、非常においしい魚でもあります。
毒があるからと逃がしてしまうのはもったいないので、安全に持ち帰って、捌く前に釣り場で行う下処理と締め方を紹介します。
オニオコゼを釣った後の処理手順は、以下のとおりです。
- 下処理
- 活け越し
- 活け締め
- 血抜き
- 保冷
オニオコゼの下処理
オニオコゼには、背ビレに毒があります。刺されたら、めちゃくちゃ痛いらしいです。危険なので、釣れたら、針を外す前に毒のある背びれをハサミで切ります。
また、オニオコゼは動き回る魚ではなく、岩礁に擬態するからか、体に海藻のようなものが付着しています。ぱっと見がゴミとか海藻とかに見える理由です。
スカリに入れる前にブラシで綺麗にしておくほうが良いでしょう。
オニオコゼの活け越し
オニオコゼを締めるまでは、スカリで活かしておいて体力を回復させます。これは、漁師が魚を船の生け簀の中で回復させてから出荷する活け越しと呼ばれる方法と同じ原理です。
魚の体内には、ATPと呼ばれる旨味成分の元があります。これは、筋肉のエネルギーとなるもので、釣った直後のオニオコゼは、ATPが消費された状態になっています。
そこで、魚の体力を回復させ、ATPを増やすことで旨味成分の元を回復させることができます。
オニオコゼの活け締め
オニオコゼの活け締めとは、オニオコゼが活きたままの状態で延髄を破壊し、即死させることです。
締め方としては、エラの部分からナイフを入れ、目の指一本分くらい後ろに脳と延髄がありますので、そこを狙ってナイフを刺します。この時、背骨とその下にある太い血管も一緒に切ります。
うまくいくと、オニオコゼは口を大きく開けて、体全体がピーンとつった感じになるのですぐにわかると思います。
また、活け締めの際は、オニオコゼを暴れさせることのないようにすることが重要です。オニオコゼが暴れると魚体内に血がまわり、生臭さの原因ともなりますので、タオルなどで目を隠してから締めるとよいでしょう。
オニオコゼの血抜き
活け締めにされたオニオコゼは、その時点では脳死状態であり、心臓は動いたままです。そのため、心臓から血液が送られ、活け締めの際に背骨と一緒に切断した血管から血が抜けていきます。
しかし、これだけでは、血抜きは不十分なので、エラをハサミで切ります。そして、オニオコゼの頭と尾を持ってオニオコゼの身体を折り曲げて、切ったエラから血を抜きます。
これで、だいぶ、血が抜けますが、最後に、オニオコゼをスカリに入れて海水に付けます。なるべく頭が下になるようにして、海水の中で身体をゆらすとさらに血が抜けます。約5分ほど海水につけて、血の塊を取ってエラの色が、真っ赤ではなく、ピンクや白っぽくなっていれば、血抜きは完了です。
活け締めの効果
活け締めの効果は、死後硬直を遅らせ、魚の鮮度を保つことです。また、臭みの発生や腐敗を遅らせることができます。また、締めずにクーラーボックスの中で魚が死ぬと、死ぬまでに暴れて筋肉を動かした分ATPが消費されます。消費されたATPは再生されないので、旨味が減るとされています。活け締めにより、オニオコゼを即死させることで旨味成分の元となるATPの減少を抑えることができます。ちなみに、活け締めをした魚は、そうでない魚と比較すると、2倍から4倍の時間、鮮度を保つことができるそうです。
血抜きの効果
オニオコゼの血抜きを行うことの効果は、生臭さを防ぐこと、身の劣化を防ぐこと、旨味成分の分解を防ぐことです。オニオコゼの身体の中に血が残っていると、これが身の劣化を早め、腐敗の原因となるだけでなく、匂いの原因ともなります。さらに血には、旨味の元となるイノシン酸を分解する酵素も含まれています。身体から血を抜くことで、これらを取り除くことができます。
保冷
下処理と血抜きが終わったオニオコゼは、すぐにクーラーボックスに入れて適切な温度で冷やします。しかし、冷やしすぎるとオニオコゼの死後硬直が早まり、締めた効果がなくなってしまうので注意が必要です。この時、オニオコゼは氷や冷たい水に直接触れることがないようにビニール袋などに入れると良いと思います
必要な道具
オニオコゼを締めて、血抜きをするために必要な道具は、フィッシュグリップ、ナイフ、ハサミ、スカリです。
フィッシュグリップ
オコゼには背ビレのトゲに毒があるので、背ビレを切ったり、締めたりするときに安全に魚をつかむためには、フィッシュグリップは必需品です。
フィッシュグリップでオコゼをつかんでから、毒のトゲのある背びれを切れば安全に処理ができます。
ナイフ
ナイフは、活け締めをする際に延髄を破壊し、背骨と血管の切断に使用します。また、腹を裂いて腹ワタを取り出すことやエラを切る時にも使用します。オニオコゼを締めて、血抜きまでの必需品であると思います。安いナイフはさびやすいのでステンレス製のものの購入をオススメします。
ハサミ
ハサミは、最初にオニオコゼの背ビレを切る時と血抜きでエラを切る時に使います。また、活け締めの際に、魚のこめかみに刺すことで、ナイフのかわりになります。これも安いハサミは、さびやすいので、ある程度の品質のステンレス製をオススメします。
スカリ
オニオコゼを釣った後にスカリで活かしておくことで、オニオコゼの体力が回復し、旨味成分の元となるATPの回復につながります。そのため、オニオコゼを締める直前までは、スカリで活かしておいた方がよいです。また、オニオコゼのエラを切った後に海水に付けて、さらに血を抜きますが、水汲みバケツでは少し小さいので、オニオコゼをスカリに入れて海水につけることできれいに血抜きができます。
まとめ
オニオコゼを釣った後に、安全に、締めて、血を抜いて、保冷して持ち帰るまでの手順を解説しました。この通りにやれば、安全に究極の美味であるオニオコゼを堪能できます。また、熟成させてもおいしくいただくことができると思います。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
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